その一瞬全てに幸せがある
幸せとは何かと聞かれたら、
『今生きていることが幸せ』
言わば、『幸せとは何かと考えられること自体が幸せ』 だと、私は思います。
『盲亀浮木(もうきふぼく)』 という話があります。
海の底に100年に一度浮かび上がる、盲目の亀がいます。
ある日、広い海の上を丸い穴が開いた一本の木が流れていました。
ちょうど亀が浮かび上がったとき、その穴の中に顔を出す、そんなことが起こるでしょうか?
『そんなことはあり得ない』 と答えた弟子の一人に 『人間が生まれてくるというのは、それよりも更にあり得ないことなんだよ』 とお釈迦様は諭したと言われています。
それほどの確率で生れた自分の両親が偶然にも出会い、そして戦争も貧しさも難民になるような心配の無い日本に産まれて、今まで育って来れたのにはそれなりの因果があると、仏教では考えます。
そこにいわゆる 『自分自身の努力』 はどれだけ関係しているんでしょうか?
本当にちっぽけなものだと思いませんか?
自分の力ではどうにもならない、大きな力に支えられて今この瞬間があるのだということが感じられると、人は自然に感謝と幸福感に包まれます。
感謝の言葉を日本語で 『有り難う』と言いますが、これは 『元々、有ることが難しい』 という意味です。
日本に60年以上住んでいる海外のお客様から昔、話を聞いたことがあります。
『あなたはどうして日本に来たんですか?』
その方は 『あなたに会うために来たんです!』 と答えました。
まっすぐな瞳から本気でそう思っていることが伝わってきて涙が出ました。
60年間、一期一会の出会いを有り難く想って、心から大切にしてきたからこそ響く本物の言葉に、私も 『有り難う』と自然に答えることができました。
実際に口に出して『有り難う』と言ってみてください。
恥ずかしい場合は、息に乗せてささやいてみましょう。
どんなことがあっても有難い。
そう思える人間に生まれてきただけで幸せだと、心から思えるようになってきますよ。
忙しい毎日を送っていると、つい当たり前のことだと思って見過ごしてしまいますが、一瞬一瞬がそもそも幸せの種だと気づいてくださいね。
感謝