死が怖いから今を大切にできる

死はいつやってくるかわからないもの。

私たちは普段、このことをできるだけ考えないようにしていますが、明日も無事に生きているかは誰にもわかりません。

仏教では死を思うことはとても重要なことです。

お釈迦様が出家されたのも、いつかは死ぬということを強く意識されたのがキッカケとなりました。

まだお釈迦様が若く、王子としてお城で何不自由のない生活を送っていた頃のこと、ある日、出かけるため馬車に乗ってお城の東門を通りかかると、年老いた老人の姿を見かけました。 次の日、今度は南門で病人の姿を見かけます。 さらに次の日、西門で亡くなった人を見かけました。

お釈迦様は、自分もいつかは同じように年老いて病にかかり死んでいくのだということを知って、深く悩んだそうです。

そして、最後には北門で出家修行者をみかけて、出家することを決意されたそうです。

お釈迦様は、自分に与えられた時間には限りがあるということを痛感したからこその、家族も国も何もかも捨てて、修行をする決意をされたのです。

時間があると、ついつい怠けてしまうのが人間です。

本当に大切なことはやるのが大変だからと後回しにして、どうでもいいことばかりをやってしまったりしてしまいます。

学生時代に、明日は大切なテストがあるというのに、いつもはやらない部屋の掃除を凄く念入りに時間をかけてやった経験のある人もいると思います!

お釈迦様は、『私たちの身体はあっという間に衰えて死を迎えるのだから、そのことを忘れず一時的な楽しみに意識をむけるのではなく、怠けず修行に励むように』 と言っています。

死を忘れないでいることで、初めて私たちは与えられた時間を有効に使うことができるようになるのです。

死から逃げることは、誰にもできません。 死ぬのは怖いことです。 でも、怖いことだからいいんです。

こうしているうちに少しずつ死が近づいてくることを思い出して、今のこの貴重な時間を大切に使うためのキッカケにしてみてはいかがでしょうか。

 

感謝